最近、よく聞かれるんだよね…DevOpsって、どうやって勉強すればいいんですか?って。正直、これ、すごく難しい質問で。
たぶん、この記事を読んでるあなたも、いろんなチュートリアルに手を出したり、入門書を何冊か買ってみたりした経験があるんじゃないかな。ブラウザのタブが20個くらい開いてて、Dockerのドキュメントと、Kubernetesの解説動画と、Terraformの「Getting Started」がごちゃ混ぜになってる状態。…心当たり、あるでしょ?
半年くらい勉強してるのに、いざ「コンテナを使ってアプリをデプロイするって、具体的にどうやるの?」って聞かれると、言葉に詰まる。なんか、知識が点と点のままで、線になってない感じ。僕も昔はそうだったから、その気持ちは、うん…すごくよくわかる。
でも、ある時から学習方法を根本的に変えたら、急に視界が晴れたんだ。今日はその話をしようと思う。これは「完璧なチュートリアル」の話じゃない。むしろ、チュートリアルから一度離れる、っていう話。
なんでDevOpsの学習って、こんなに挫折しやすいんだろう?
まず、ここから考えないと始まらない。プログラミング言語を一つ覚えるのとは、わけが違うんだよね。DevOpsって、特定のツールじゃなくて、文化とか哲学とか、そういうのも全部含んだ「エコシステム」だから。
多くの人がハマる落とし穴が、だいたい3つあると思う。
一つ目は、「ツールの海」で溺れちゃう問題。コンテナ化はDocker、オーケストレーションはKubernetes、IaCはTerraform、CI/CDはGitHub Actions、監視はPrometheus…って、もう無限にある。全部やろうとすると、結局、どれも中途半端になって、何も深く理解できないまま時間だけが過ぎていく。浅く広くやっても、現場では正直、あんまり役に立たないんだよね。
二つ目が、有名な「チュートリアル地獄」。たぶん、あなたも `docker run hello-world` は、もう何十回も打ち込んだはず。でも、じゃあ手元にあるWebアプリをDockerで動かして、って言われると急に手が止まる。これは、知識を「入力」ばっかりしてて、「出力」…つまり、自分で何かを作るっていう経験が圧倒的に足りてないから。料理のレシピ動画を一生見てても、自分で一度も包丁を握ったことがなければ、料理はできるようにならないのと同じ。
最後が、「文脈が欠けてる」問題。ツールって、何かの問題を解決するために生まれてきたわけじゃない?Kubernetesがなんで必要なのかを理解しないで使い方だけ覚えても、すぐ忘れちゃう。釘の存在を知らずに、ハンマーの使い方だけ習うようなもの。だから、「このツールは、"どんな課題"を"どうやって"解決するのか」っていう背景を理解するのが、すごく、すごく大事なんだ。
じゃあ、どうすればいい?僕が考える30日間の実践プラン
ここからが本題。もし僕が今ゼロから学ぶなら、こういう計画を立てるかな、っていうのを30日間のフレームワークにしてみた。ポイントは、「何か一つ、実際に動くものを作る」こと。ただそれだけ。
Week 1: 基礎固めと的を絞る(1〜7日目)
まず、ゴールを決めること。「DevOpsを学ぶ」みたいな漠然とした目標じゃなくて、「コンテナとCI/CDを使って、簡単なWebアプリをデプロイする」みたいに、超具体的にする。これが決まると、学ぶべき情報と、そうじゃない情報を脳が勝手にフィルタリングしてくれるようになるんだ。
次に、使うツールを各分野から一つだけ選ぶ。あれもこれも、は絶対にダメ。例えば、こんな感じ。
- コンテナ技術: Docker
- IaC (Infrastructure as Code): Terraform
- CI/CDツール: GitHub Actions
- クラウドプラットフォーム: AWSの無料利用枠とかGCPのFree Tierで十分。
そして最初の1週間は、この選んだツールたちの「なぜ?」を徹底的に調べる。「このツールは何を解決するために作られたのか?」「基本的な仕組みはどうなってる?」とか。ドキュメントを読んで、自分の言葉でメモを取る。この地味な作業が、後ですごく効いてくる。
Week 2: とにかく手を動かす(8〜14日目)
ここからが楽しいところ。Week 1で決めたゴールに向かって、実際にプロジェクトを作り始める。完璧なアプリじゃなくていい。フロントエンドがあって、簡単なAPIがあって、データベースがある…くらいの簡単な3層構造のアプリで十分。
手を動かしてると、絶対にエラーが出る。例えば、コンテナ間のネットワークが繋がらないとか。チュートリアルを読んでるだけじゃ絶対に経験できない、こういうエラーを解決する過程で、Dockerのネットワークの仕組みが嫌でも頭に入る。これこそが本当の学習なんだよね。
Week 3: 統合とトラブルシューティング(15〜21日目)
個別に作ったコンポーネントを、全部つなぎ合わせる段階。一番問題が起きるけど、一番成長できる期間。Terraformでインフラ作って、そこにDockerコンテナをデプロイして、GitHubにプッシュしたら自動でデプロイが走るように…って感じで。
エラーが出たら、最低30分は自力で格闘してみる。エラーメッセージをちゃんと読んで、何が起きてるのか仮説を立てて、試す。この「デバッグ体力」みたいなものが、現場で一番求められるスキルだったりする。
そういえば、海外のフォーラム、例えばAWSの公式ドキュメントやStack Overflowは情報が早いけど、日本のQiitaやZennだと、同じような環境で詰まった人の日本語の記事が見つかったりする。どっちも見るのが大事だね。英語が苦手でも、DeepLとか使えば今はなんとかなるし。
Week 4: 完成と「説明」してみる(22〜30日目)
プロジェクトを最後まで完成させる。そして、最後の仕上げに、一番効果的な学習法をやる。それは「自分が作ったものを誰かに説明する」こと。
友達でも、同僚でも、なんならブログに書くでもいい。「この部分は、こういう理由でTerraformを使ってて、ここのCI/CDパイプラインは…」って説明してみる。もし、うまく説明できなかったら、そこがまだ自分がちゃんと理解できてない部分だってこと。これ以上ないくらい、知識の穴を見つけるのに最適な方法だよ。
このやり方、正直なところ良い点と悪い点
まあ、どんな方法にもメリット・デメリットはあるからね。正直にまとめてみた。
| 比較ポイント | チュートリアルをなぞる学習法 | プロジェクトベースの学習法 |
|---|---|---|
| スキルの深さ | 広く浅く。なんか知ってる気にはなるけど…。いざという時、使えないことが多い。 | 狭いけど、めっちゃ深い。一つのことをちゃんと「使える」レベルになる。 |
| 問題解決能力 | ほぼゼロ。書いてある通りにしかできないから、エラーが出るとすぐ止まる。 | これがメイン。エラーと友達になれる(笑)。むしろエラーを解決するのが学習そのもの。 |
| モチベーション | 続きにくい。「やった感」がなくて、何のためにやってるかわからなくなる。 | 自分の「作品」ができていくから、楽しい。完成した時の達成感がすごい。 |
| 知識の定着 | すぐ忘れる。文脈がないから、ただの暗記になっちゃう。 | 忘れない。苦労して解決したことは、体が覚えてるから。 |
| 手軽さ | すごく手軽。頭を使わずに、ただ手を動かせばいいから楽。 | 最初の計画がちょっと面倒。でも、その価値は絶対ある。 |
よくある悩みと、まあ、僕なりの考え
この話をすると、だいたい2つの反論がくる。
一つは「そんなに時間ないですよ」。うん、わかる。すごくわかる。毎日2〜3時間なんて無理だよ、って思うよね。もしそうなら、週末にまとめてやるとか、30日じゃなくて60日計画にするとか、もっと作るものを小さくするとか。大事なのはスピードじゃなくて、継続することだから。一日15分でも、前に進んでればOK。
もう一つは「エラーで詰まって進めないのが怖い」。これも、わかる。でも、詰まるのが仕事みたいなものだからね、この世界は。詰まったら、コミュニティに頼るのが一番いい。今はDiscordとかSlackとか、親切な人が集まる場所がたくさんある。大事なのは、何時間も一人で抱え込まないこと。30分調べて分からなかったら、勇気を出して誰かに聞く。それでいいと思う。
まとめというか、最後に伝えたいこと
DevOpsの学習で一番大事なのは、全部を知ろうとしないこと。誰も、全部なんて知らないから。
それよりも、何か一つでいいから、自分の手で「作り上げた」という経験を持つこと。インフラをコードで定義して、コンテナを動かして、自動でデプロイされる…その一連の流れを、自分の手で作り上げたという事実。その成功体験が、次の学習への一番の燃料になるし、何より、自信になる。
チュートリアルを読むのはもうやめて、今日から何か、小さなプロジェクトを始めてみない?完璧じゃなくていい。途中でツールを変えたっていい。とにかく、自分の手で何かを作る。それが、チュートリアル地獄から抜け出す、唯一で、一番の近道なんだと僕は思う。
もしあなたが今から何か作るとしたら、どんな小さなプロジェクトをやってみたい? 簡単なAPIサーバーとか、ブログとか。よかったらコメントで教えてよ。
