ReadwiseにすごいAIが来た話
最近考えてたんだけど、Readwiseがとんでもない機能を2つも追加してきた。正直、これはゲームチェンジャーかもしれない。「ハイライトとチャットする」機能と、「関連ハイライトの表示」機能。うん、名前だけ聞くと、まあよくあるAI機能かなって思うよね。
でもね、これが、僕みたいな情報過多で溺れかけてる人間にとって、長年溜め込んできたデジタル上の「積読」…つまりハイライトの山を、本当に意味のあるものに変えてくれるかもしれないんだ。今までただの倉庫だったのが、急に働き者のアシスタントがいる知識ベースになった、みたいな感じ。
このタイミングも絶妙で。もう情報収集とか追いつかないよって諦めかけてたところに、こういう解決策が出てくるのは、なんだか面白い。
この記事では、なんでこの機能がただの追加機能じゃなくて、僕らの情報の扱い方を根本から変える可能性があるのか、ちょっと考えてみたい。まあ、僕自身の思考の整理みたいなものだけど。
そもそも、どうして情報を溜め込んでしまうのか
毎日、すごい量の情報が流れてくる。記事、本、ポッドキャスト、YouTube…。その中で「お、これいいな」って思ったものを、とりあえずハイライトしたり保存したりする。これを僕は、心の中で「外の世界の情報」って呼んでる。
一方で、自分で考えたこと、アイデア、会議のメモなんかの「内の世界の情報」もある。これは自分でコントロールできるから、まだいい。問題は、外からやってくる情報の洪水。これをどう扱うかが、ずっと課題だった。
とりあえず保存はする。Readwise Readerみたいなツールを使えば、ボタンひとつで一箇所に集められるから、キャプチャ自体はすごく楽になった。でも、その後が問題。ただ溜まっていくだけで、結局見返さない。見返したとしても、「ふーん」で終わっちゃう。これじゃ意味ないよね。
この「とりあえず保存したけど、活用できてない」っていう罪悪感みたいなもの、たぶん多くの人が感じてるんじゃないかな。僕も長年そうだった。
僕がやった、いくつかの「やめたこと」
正直、一時期はもうダメだと思ってた。たくさんの本を読んでも、記事を保存しても、何も身になってない感じ。それで、いくつかやり方を根本的に変えてみることにしたんだ。
- 無意味な読書量を追いかけるのをやめた。 年に52冊とか…昔はそういう目標を信じてたけど、今は本当に大事だと思う本を1〜3冊、じっくり読むようにした。
- 数少ない本を、自分の言葉で再構築する。 ちゃんと深く理解して、自分の知識システムに組み込む感じ。
- 読んだら、何かしら行動に移す。 小さなことでもいいから。
- インスピレーション源を変えた。 長大な本より、X (旧Twitter) とかDeepstashみたいな、短い言葉でアイデアをくれるものを重視するようになった。ひらめきのきっかけとして。
- ツールを絞った。 「外の世界の情報」を扱うのは、もうReadwise、Readwise Reader、Mymindの3つだけにした。シンプルに。
このやり方で、だいぶマシにはなった。Readwise Readerで何でも一元化して、Mymindでビジュアル系の情報を管理して、Readwise本体でハイライトを保存して、スペースド・リピーティション(間隔反復)で忘れないようにする。うん、仕組みとしては悪くなかった。
でも、心のどこかで、まだ何かが足りないって感じてたんだ。スペースド・リピーティションって、要は「忘れないため」の仕組みであって、そこから新しい何かを生み出すものではないから。ハイライトの山は、相変わらずただの山のままだった。
【比較】ReadwiseのAI登場で何が変わったのか?
で、今回のAI機能の登場だ。これが、その「最後のピース」を埋めてくれた感じがする。今までのやり方と、これから何が変わりそうなのか、ちょっと表にしてみようかな。
| 項目 | 今までのやり方(AIなし) | これからのやり方(AIあり) |
|---|---|---|
| 情報の整理 | タグ付けとか、フォルダ分けとか…頑張って整理しようとして、結局挫折する。正直、めんどくさい。 | もはや整理しない。とりあえず放り込むだけ。AIが後から意味を見つけてくれるから。この解放感はすごい。 |
| 情報の発見 | 自分でキーワード検索するか、スペースド・リピーティションで偶然再会するのを待つだけ。すごく受動的。 | 「関連ハイライト」機能が、忘れてた情報同士を勝手に繋げてくれる。思わぬ発見がある。セレンディピティってやつかな。 |
| 情報の引き出し方 | 「あの記事の、あの部分…なんて書いてあったっけ?」って、自分の記憶を頼りに探す。思い出せないと、もう見つからない。 | 「予算について何か面白い考えなかったっけ?」みたいに、AIに雑に質問できる。自分のためのGoogleみたいだ。 |
| 心理的負担 | 「ちゃんと整理しないと」「全部読まないと」っていうプレッシャーが常にある。情報のFOMO(見逃すことへの恐怖)がすごい。 | 「後でAIに聞けばいいや」って思えるから、気軽に保存できる。精神的にすごく楽になった。 |
新機能①:ハイライトとチャットする(自分だけの司書)
これが本当にすごい。今まで自分がハイライトしてきた全てのテキスト…つまり、自分が「これは重要だ」と判断した情報だけを完璧に記憶している、超優秀なリサーチアシスタントが手に入ったようなもの。
例えば、「予算について」とチャットで尋ねると、AIは「予算」という言葉だけを探すんじゃない。「コスト」「財源」「お金」みたいな関連する概念を、文脈を理解して、何年も前に読んだ本のハイライトから引っ張り出してきてくれる。
これの何が革命的かって、今まで「整理」に費やしてきた時間が、完全にゼロになること。タグ付けも、リンク付けも、フォルダ分けも、もう何もしなくていい。ただ保存するだけ。あとはAIが意味のある繋がりを見つけてくれる。
これは、何十年も夢見てきた「自分だけのGoogle」あるいは「自分だけのPerplexity」が完成した瞬間だった。ネットの広大な海じゃなくて、自分が選び抜いた、価値ある情報源の中だけを検索してくれるエンジン。ノイズの中から、意味のあるシグナルだけを拾い上げてくれる。最高だ。
新機能②:関連ハイライトの表示(偶然の出会いを自動化)
チャット機能が情報の「検索」を変えたなら、こっちは「発見」の仕方を変えた。
何か一つのハイライトを読んでいると、その下に「その他関連ハイライト」として、自分のコレクションの中からAIが選んだ別のハイライトが表示される。これが、ただのキーワードマッチングじゃないんだ。
ObsidianとかTanaみたいなPKM(パーソナル・ナレッジ・マネジメント)ツールで、手動でノートをリンクさせる作業あるよね。あれを、AIが全自動で、しかも人間には思いもよらないような繋がりを見つけてやってくれる感じ。
数年前に読んだ記事の一節と、昨日保存したポッドキャストのメモが、同じテーマについて語っていたことに気づかせてくれたり。自分でも意識していなかった、自分の興味のパターンを可視化してくれたりする。…これは、なかなか面白い体験だよ。
なぜReadwiseのAIは、ただのChatGPTラッパーと違うのか?
最近、いろんなサービスがとりあえずAI機能を付け足してるけど、正直、そのほとんどは単にChatGPTを裏側で呼び出してるだけで、がっかりすることが多い。それなら直接ChatGPT使った方が早いよ、って。アメリカのテック界隈とか、特にそういう傾向が強い気がする。
でも、Readwiseのアプローチは根本的に違う。彼らのAIは、一般的な知識じゃなくて、「あなたの」ハイライト、つまり「あなたの」興味や思考パターンだけを学習データにしている。ここに決定的な差がある。
考えてみれば当たり前で、僕らは無意識に情報のフィルターをかけてる。
- インターネットという膨大な情報の中から、自分が興味を持ったものだけをキャプチャする。
- そのキャプチャした情報の中から、さらに本当に重要だと思った部分だけをハイライトする。
この2段階のフィルタリングによって、ものすごく純度が高くて、自分にパーソナライズされたデータセットが出来上がってるんだ。これは、汎用AIには絶対に真似できない領域。
技術的な話を少しすると、Readwiseが初期からこだわってきた「リレーショナルデータベース」の設計が、ここで生きてきてるんだと思う。彼らは単にハイライトをテキストとして保存してるんじゃなくて、どの本の、どの部分か、いつハイライトしたか、といったメタデータごと、きちんと構造化して保存している。この堅牢な土台があったからこそ、後から付け足したAI機能が、こんなにも強力に機能する。流行りに乗って後からAIを「ボルトオン」したサービスとの、アーキテクチャ思想の差だね。
日本のユーザーって、きれいに整理整頓することに価値を置く文化があると思うんだけど、このReadwiseのAIは、「頑張って整理しなくても、価値は引き出せるよ」っていう、新しいアプローチを提示してくれているのかもしれない。
反例と誤解の整理
とはいえ、こういう新しいものが出てくると、いくつか疑問も湧いてくると思う。
まず、「結局、入力するハイライトの質が低かったら、意味ないんじゃない?」。これはその通り。「Garbage in, garbage out(ゴミを入れたらゴミが出てくる)」の原則はここでも当てはまる。どうでもいいゴシップ記事ばかりハイライトしていても、深い洞察は生まれない。これはAIの限界というより、使う側の問題だね。
次に、「自分のハイライトはごちゃごちゃすぎて、AIでも無理でしょ」。これは誤解。むしろ、そのごちゃごちゃがいい。多様なソースからの、一見バラバラなハイライトがある方が、AIが意外な繋がりを見つけてくれる可能性が高まる。完璧に整理されている必要は全くない。それがこのツールの良いところ。
最後に、「AIに頼りすぎると、自分で考えなくなりそう」。うーん、これは使い方次第かな。僕はこのAIを「答えをくれる先生」じゃなくて、「壁打ち相手」とか「記憶を補助してくれるアシスタント」として捉えてる。最終的に、点と点を繋げて意味を見出すのは自分自身。AIはあくまで、その材料を効率よく見つけてきてくれるだけ。
じゃあ、どうすればいい?
もしReadwiseを使っているなら、まずは「ハイライトとチャット」機能で遊んでみるのが一番いいと思う。今自分が取り組んでいる仕事のテーマとか、興味があることについて、雑に質問を投げてみてほしい。「あれ、こんなこと考えてたんだっけ」って、過去の自分からのメッセージを受け取れるかもしれない。
そして、ハイライトを見返すときに、「関連ハイライト」にちょっとだけ注意を払ってみる。そこに、次のブレークスルーのヒントが隠れてるかもしれないから。
個人的には、これでようやく、長年の「デジタル情報収集癖」が報われたような、そんな気がしている。ただの収集が、意味のある蓄積に変わった。これは、本当に大きな一歩だと思う。
あなたの知識と対話してみませんか?
もしReadwiseを使っていたら、AIに最初に何を聞いてみたいですか? あるいは、自分の「外の世界の情報」を整理する上で、一番困っていることは何でしょう。もしよければ、コメントであなたの考えを聞かせてください。
