SEO分析ツール、ただ眺めてるだけ?
SEO分析ツール、導入はしたものの、正直なところ毎日ログインして数字を眺めるだけになっていませんか。僕も昔はそうでした。「お、今週は表示回数がちょっと増えたな」とか、「このキーワード、順位が3つ上がった」とか。でも、その数字が上がったり下がったりすることで、一体ビジネスに何が起きているのか、そこまで考えられていなかったんです。
ツールはあくまで道具。Google Search ConsoleやAhrefs、Semrushといった優れたツールも、それ自体が成果を生むわけじゃありません。 大事なのは、ツールが示してくれるデータから「物語」を読み解いて、次のアクションに繋げること。今日はそのための、ちょっとした考え方の話をしようと思います。
まず、基本のキ。ツールは何のためにある?
すごくシンプルに考えましょう。SEOのためのツールは、大きく分けて2種類あります。
ひとつは、Google Search Console(サーチコンソール)とGoogle Analytics 4(GA4)。これは必須科目みたいなもの。 自分のサイトがGoogleからどう見られているか、サイトに来た人が何をしているかを知るための、いわば健康診断書です。 これらは無料で使えるので、まだ設定していないなら、今すぐやるべきです。
もうひとつが、AhrefsやSemrushといった有料ツール。 これらは、競合サイトの動向を丸裸にしたり、どんなサイトからリンクをもらっているか(被リンク)を調べたり、より深く、広く分析するための武器です。必須ではないけれど、本気で上を目指すなら、いずれ欲しくなるものです。
指標の沼にハマらないための「3つの質問」
さて、ここからが本題。クリック率(CTR)、直帰率、コンバージョン率…たくさんの指標があって、どれを追えばいいか分からなくなりますよね。 僕はいつも、この3つの質問に立ち返るようにしています。これだけで、見るべき指標が自然と整理されます。
質問1:そもそも、見つけてもらえてる?(可視性)
どんなに良い記事を書いても、検索結果に表示されなければ存在しないのと同じ。まずは「表示回数」と「掲載順位」を見ます。 これは主にサーチコンソールの「検索パフォーマンス」レポートで確認できます。 表示回数が増えているなら、Googleがあなたのサイトを色々なキーワードで評価し始めている証拠。逆に、大事なキーワードで順位が落ちていたら、すぐに対応が必要です。
質問2:見つけてくれた人は、興味を持ってくれた?(魅力)
検索結果に表示されただけでは、まだスタートライン。次に大事なのが「クリック率(CTR)」です。 これは、あなたの「タイトル」と「説明文(ディスクリプション)」が、ユーザーにとって魅力的だったかどうかの成績表。順位が高いのにCTRが低いなら、タイトルが検索意図とズレているのかもしれません。「もっとクリックしたくなる言葉はないか?」と考えるきっかけになります。
質問3:サイトに来て、価値を感じてくれた?(エンゲージメントと成果)
そして最後の質問が、一番重要です。クリックしてサイトに来てくれたユーザーは、満足してくれたのか? ここで見るのがGA4の「エンゲージメント」関連の指標や、最終的な「コンバージョン(CV)数」です。 たとえアクセスが多くても、すぐに離脱されたり、問い合わせや購入といった行動に繋がらなかったりするなら、それは「良いトラフィック」とは言えません。 コンテンツの内容が期待外れだったか、次の行動への導線が分かりにくかったか。ここを改善するのが、ビジネス成果に直結します。
じゃあ、どのツールを使えばいいの?
「3つの質問」は分かったけど、どのツールを使えば効率的なのか。これもよく聞かれる質問です。立場によって最適なツールは違うので、簡単な比較表を作ってみました。
| あなたの立場 | 主な関心事 | おすすめツール | ポイント |
|---|---|---|---|
| 個人ブロガー | 自分の記事がどのキーワードで読まれているか知りたい。新しいネタを探したい。 | Google Search Console + GA4 | まずは無料で十分。どんなクエリで流入があるかを見るだけで、次の記事のヒントがたくさん見つかります。 |
| 事業会社の担当者 | 競合はどんな戦略で、うちはどう勝つか。事業成果(リードや売上)に繋げたい。 | GSC/GA4 + Semrush | SemrushはSEOだけでなく広告分析もできるので、マーケティング全体を見る立場なら便利。 日本語サポートが手厚いのも安心材料。 |
| 代理店・コンサルタント | クライアントのサイトの技術的な問題点を探したい。被リンクの状況を詳細に分析したい。 | GSC/GA4 + Ahrefs | Ahrefsは被リンク分析のデータ量が豊富で、サイト監査機能も強力。 SEOのプロが「なぜ?」を深掘りするのに向いています。ただ、サポートは英語が基本かも。 |
分析でよくある落とし穴
ツールと指標がわかっても、まだ安心はできません。分析には、ついハマってしまう落とし穴があります。
ひとつは、「順位だけを見て一喜一憂する」こと。順位はあくまで中間指標。順位が上がっても、コンバージョンが増えなければ意味がないかもしれません。
もうひとつは、「データを見て、それで満足してしまう」こと。レポートを出すのが仕事になってしまうパターンです。分析の目的は、改善アクションを見つけること。 「で、次どうする?」を常に自問自答しないといけません。
この点、海外のAhrefsのブログなんかを読むと、単なる機能紹介じゃなくて「データから何を考えるべきか」という戦略的な視点の話が多くて参考になります。一方で、日本の代理店ブログなどは、ツールの具体的な操作方法を日本語で丁寧に解説してくれていることが多い。 つまり、海外の考え方で「Why(なぜ)」を学び、日本の情報で「How(どうやるか)」を固めるのが、一番効率がいいかもしれませんね。
まとめというか、これからの話
結局のところ、SEOのパフォーマンス追跡は、「見つけてもらい(可視性)」「興味を持ってもらい(魅力)」「価値を感じてもらう(成果)」という、商売の基本と同じなんです。 ツールは、その各段階で何が起きているかを教えてくれる便利な道具にすぎません。
毎日すべての数字を追う必要はありません。週に一度、あるいは月に一度でもいいので、「3つの質問」に立ち返って、自分のサイトの健康状態をチェックする。そして、何かひとつでも改善のアクションに繋げる。その繰り返しが、一番の近道なんだと思います。
さて、これを読んでいるあなたは、今どの指標を一番気にしていますか? そして、それは本当にあなたのサイトのゴールに繋がっていると思いますか? よければ、考えを聞かせてください。
